
「人工知能(AI)市場では、短期的にはAIエージェントを作る企業が勝利するだろう。長期的には、既存のサービスや商品とAIをうまく結合する企業が最終的に市場を支配すると思われる。」
最近、毎日経済新聞とのインタビューで、チャン・ジンソクBCGデジタル部門代表パートナーはこのようにアドバイスした。
チャンパートナーはBCGソウルオフィスのデジタルとAI専任組織「BCG X」を率いるデジタルトランスフォーメーションの専門家である。顧客企業の中長期デジタルトランスフォーメーション戦略コンサルティングからモバイルアプリケーション(アプリ)開発など、実際の事業実行まで支援した経験がある。特にAIを活用した生産性改善プログラムを多数実施してきた。最近、AI関連事業が高い投資額に対して収益性を確保できるかについて論争が起こっている。NVIDIAなどのAI半導体企業は利益を上げているが、AIサービスを発表した企業はまだ黒字を出すのに苦労しているからだ。これについてチャンパートナーは「まだAIサービス企業は『金を食うカバ』であり、莫大な資金を投入している状況だ」と述べ、「OpenAI、Google、Perplexityなどの多くの企業がAIアルゴリズムと巨大言語モデル(LLM)を作るために想像を超える資金を投入した」と語った。
彼は「このようなファンデーションモデル企業も最終的には利益を上げることになるが、彼らよりも直接的にAIをサービスする企業が早く収益を上げることができるだろう」とし、「巨大モデルを使用するためのコストが急激に低下しているため、低下した調達コストを基に収益性を確保することが可能だ」と説明した。
次はチャンパートナーとの一問一答。
-AI企業はどのようにお金を稼ぐことができると考えられるか。
▷AIを活用できるサービスを作り、そのサービスに顧客がお金を支払うのが現在の方法だ。しかし今後はAIでお金を稼ぐ方法がさらに高度化するだろう。既存に提供していたサービスや商品とAIを結合して収益性を確保する事例が増えるだろう。例えば、Adobeは既存のPhotoshopのようなサービスにAIを結合し、単にソリューションを販売していた企業からサブスクリプション型サービス企業に進化し、顧客を引き留めることができるようになった。このような流れが現れれば、最終的には情報技術(IT)サービス企業がAIサービス企業に進化することになると考えられる。IT企業がすでに存在する収益性モデルをAIで強化するからだ。
-短期的にはどのAIサービスが注目されると考えられるか。
▷AIエージェントに注目すべきだ。AIエージェントは生成型AIを基にして、何らかの作業を代わりに行う自動化ツールだ。例えば、過去のプレゼンテーションは人が直接デザインしていた。しかしAIエージェントを活用すれば、初期のプレゼンテーションを自動生成することができる。報告者はそれを基に修正すればよい。今は誰がどのAIエージェントを作って実際の顧客に選ばれるかが重要になるだろう。特に企業と消費者間取引(B2C)AIエージェントの場合、これを通じて既存のサービスも顧客の選択を受けることになる。
-我が国の企業は相対的にどのAI分野で強みがあるか。
▷AIバリューチェーンはハードウェア、ファンデーションモデル、ドメイン特化モデル、エージェントなどで構成されている。まず我が国がファンデーションモデルをうまく作れるかについて疑問がある。OpenAI、Google、Meta Platformsのように兆単位の投資が可能か懸念されるからだ。ファンデーションモデルの開発には膨大なコンピューティングパワーが必要で、これが最終的にはコストになるため、我が国の企業が無謀に直接飛び込むと非常に大きな挑戦になるだろう。
結局、韓国企業はAIバリューチェーンで消費者とより密接に接触するサービスに集中すべきだ。我が国は製造業大国であるため、AIエージェントのようなサービスをうまく作り、それを製造業環境に結びつけることができなければならない。
-韓国語データを基にしたLLMモデルが不足しているという指摘についての意見は。
▷韓国語データだけでモデルを作った場合、より良いモデルが出る可能性はあるが、重要なのはデータソースだ。すでに業界ではオープンデータを学習にすべて使用してデータが枯渇しているという懸念が出ている。それに伴い、特定の産業やドメインに対してカスタマイズされたLLMを作るべきだという意見が出ている。すでに現在の技術でもAIの言語能力は備わっている。今後は特定の分野に関するデータを確保し、具体的な知識を学習させることが重要だ。つまり、言語ではなくドメインに対する専門性を持ったLLMを作れるかが勝負の分かれ目になるだろう。
過去のAIは一つの塊だった。しかしすでにファンデーションモデルとファインチューニングモデルに分かれている。つまり、ファンデーションモデルで作った言語能力に目的に合った知識をファインチューニングできる技術が重要だ。機会がむしろ増えたという意味だ。特定のドメインに最適化されたAIでも機会を見つけることができるからだ。
-AI技術をうまく活用している企業の事例はあるか。
▷グローバル製薬会社サノフィがある。サノフィはAIで動く最初の製薬会社になるというビジョンを持っている。実際、すでにAIを通じて新薬開発プロセスを短縮しようとする努力は多く試みられてきた。サノフィもこのようなビジョンを持っているが、より本格的にAIを導入した。サノフィは新薬候補物質を探す過程などの研究開発(R&D)、規制当局への報告プロセス、臨床試験など全体の製薬サプライチェーンにAIを加えた。サノフィはこれを通じて膨大な人員とコスト削減効果を得た。
-再選が決定したドナルド・トランプ米大統領候補はAIについてどのような政策を展開するか。
▷当面は米国企業がAI技術を主導しているが、「AI主権」の重要性が次第に浮上している。このため、AIにも国家間競争の構図が形成されている。韓国、中国、インド、ヨーロッパなど世界各地でAIを自国化する方法について考えている。
これはトランプ候補にとって良い素材だ。トランプ候補は自国の利益を重視する。つまり「アメリカのAI」をテーマにすることができるという意味だ。AI分野でアメリカが引き続き先行しなければならない理由から、かなりAIに親和的な政策を展開する可能性がある。最近「責任ある(Responsible)AI」に関する話が出ているが、トランプ候補がこれを著しく低い比重で見て、アメリカのAI技術がより早い速度で発展できるように政策を展開する可能性も排除できない。
[イ・ジョンファ記者]