
単独公開をはじめとするさまざまな企画で注目を集めているメガボックス(代表 ホン・ジョンイン、ナム・ヨンソク)が2025年のコンテンツ企画戦略を明らかにした。
メガボックスコンテンツ企画チームのキム・ジュホンチーム長は26日、「劇場個別単独公開作品を出したり、再公開作品などを企画編成するトレンドが続く」とし、「意味のあるコンテンツを積極的に調達し、そこに価値を加えて観客と持続的にコミュニケーションを図る予定だ」と明らかにした。
続けて「ドルビーシネマなどメガボックスが持つ特長を生かしてマニアコンテンツ、ミュージカル、コンサート、ライブビューイングなどさまざまなコンテンツを披露しようと思っている。メガボックスが最も得意とすることだ」と強調した。
メガボックスは昨年『ルックバック』を単独公開作品として公開し、30万人の観客を劇場に呼び込んだ。劇場単独公開作品が観客数30万人を超えたのは異例のことだ。今年初めに再公開された『ラブレター』も10万人を超える観客を集めている。国内初上映当時の思い出を呼び起こすために縦字幕を適用し、「おくのてい」として指摘された誤訳部分を修正して価値を加えた。また、AI 4Kアップスケール企業「インショーツ」と日本最大のバーチャルグループ「にじさんじ」とのコラボレーションを通じて劇場コンテンツが進む方向性を示している。
今回のインタビューは劇場の現位置と価値を再評価するための企画「劇場の再発見」の一環として行われた。その第一企画として、メガボックスコンテンツ企画チームのキム・ジュホンチーム長の劇場編成およびコンテンツ企画全般に関する話が盛り込まれた「コンテンツの再発見」インタビューのフル動画はメガボックス公式YouTubeチャンネルで確認できる。以下はキム・ジュホンメガボックスコンテンツ企画チーム長との一問一答である。
Q. メガボックスコンテンツ企画チームがする仕事は?
A. 過去には映画を調達し編成する業務を担当していた。今はここから業務の範囲がさらに拡大した。映画だけでなく、スポーツ中継やオペラをはじめとするクラシック関連コンテンツ、そしてミュージカルやポップ音楽コンサート、ライブビューイングなど、より多様で広範囲な良いコンテンツを探し、編成および上映する業務を担当している。
Q. 今年初めにメガボックス内でコンテンツ企画チームに対する表彰があったと聞いた。
A. 24年の間に見せたパフォーマンスを良く見ていただいたようだ。特にその中でも昨年メガボックス単独公開作品として出した『ルックバック』の成果が大きかった。日本のアニメ『ルックバック』をメガボックスが独自に輸入し、直接配給まで行ったが、ありがたいことに30万人の観客が訪れてくれたので業界でも大きな話題となった。
また、ミュージカルコンテンツ『英雄: ライブインシネマ』と『エリザベート: ザ・ミュージカルライブ』もメガボックス単独で上映し、大きな反響を呼んだ。『エリザベート: ザ・ミュージカルライブ』の場合、ミュージカルの実況を収めたコンテンツとしては歴代最高水準の観客数を記録した。このような成果を認められてチーム全体の表彰を受けたようだ。
Q. 『ルックバック』を直接輸入、配給まで行った過程が気になる。
A. チームのメンバーの一人が『ルックバック』の単行本を見せながら「この漫画が劇場用アニメーションになる」と言ったので、ただ無関心に見たことがある。しかし、絵柄が非常に独特で印象的で、最後の4、5ページに至ると大きな感動が押し寄せてきた。欲が出てすぐに制作会社にミーティングをリクエストし、日本現地に行った。その場でメガボックス単独公開を通じて得られるベネフィットを自信を持って説明し、心を込めて説得した。すでに他の配給会社や劇場側でも大きな関心を示していたため競争が激しかったが、その中でもメガボックスを選んだのには明確な理由があると思う。自分なりに後悔なくこの映画が成功するように最善を尽くし、その努力が良い結果につながったようだ。
Q. 『ルックバック』で得た30万人というスコアはどのように解釈すべきか。
A. 歴代劇場単独公開を推進した事例の中で最も良い成績だと言える。以前メガボックス単独公開作品の中で注目すべき記録を残した例としては、2021年の『劇場版 鬼滅の刃: 無限列車編』が思い浮かぶ。その時、他の劇場ブランドよりもメガボックスが1週間早く単独公開を推進したが、その1週間の間になんと20万人以上の観客が劇場に訪れてくれた。2016年には『復活』という宗教映画で16万5千人以上の観客を動員したこともある。一般的に『ルックバック』と同じ規模の作品を全劇場にワイド公開する場合には10〜20万人の観客を集めるだけでも成功と見なされることが多いが、これを考慮すると、1つの劇場ブランドに単独で公開された作品が30万人を集めたというのは素晴らしい成果だと言える。
Q. 劇場が直接輸入/配給を行う理由は何か。
A. まず、公開作品の本数が徐々に減少している環境的要因が作用していると言える。しかし何よりもメガボックスが得意とするコンテンツを直接選びたいという気持ちがあった。過去のように複数の配給会社から良い作品が出てくるのを待つ受動的な立場にとどまるのではなく、積極的に観客に見せたいコンテンツを探しに行くのはどうだろうかと思った。その結果が『ルックバック』として現れたのだと思う。
Q. 単独公開やコンテンツ企画においてメガボックスだけの強みはあるのか。
A. メガボックスは昔から日本コンテンツ、そしてオペラをはじめとするクラシック関連コンテンツを扱い、単独公開に関するノウハウを積んできた。単独公開作品以外にもさまざまな方式の企画上映が多く、こうしたプロセスを通じて「メガボックスに行けばこの種類のコンテンツが見られる」という認識をある程度作ることができたと思う。メガボックスの特性が込められた単独公開作品や企画を好んでくださるファン層があり、またメガボックス自体も既存の支持層以外の新しい観客たちを満足させるために最善の努力を尽くしている。パートナー企業もメガボックスと一度仕事をした後には満足度が非常に高い。そうなるのも、私たちのチームがコンテンツを調達してくると、マーケティングチーム、商品企画チーム、ブランドチーム、コミュニケーションチームなど関連部門が一緒になって最良のコンディションでコンテンツが観客と出会えるように激しく努力しているからだ。
Q. 各劇場が個別に単独公開作品を出す傾向は続くのか。
A. 続くと思う。配給会社も作品によってワイド公開より単独公開を選ぶケースが増えている。もちろんコンテンツの規模によって異なるが、マーケティング費用を節約し、特定の劇場との緊密な協力を通じて安定的に上映館を確保する方がより良い選択になることもある。リスクを最小化し、成果を最大化できる戦略と言える。
Q. 最近劇場に再公開作品が増えた。
A. 再公開が増えたのはコロナの時からだ。どう見ても突然厳しくなった市場で劇場が生き残るための自助策だったかもしれないが、その時期を過ぎて得た教訓がある。ただ「良い映画」を再上映したからといって観客が劇場に来るわけではないということだ。だから、メガボックスは再公開を推進しながらそのコンテンツに別の価値を加えようと努力している。昨年1月1日に再公開し、観客数10万人を超えた『ラブレター』の例を通じて説明できる。この映画の場合、再公開を準備しながら既存上映時に指摘された誤訳や意訳などの間違った字幕を修正し、初公開当時の思い出を生かすために過去の方式で縦字幕を適用した。既存の『ラブレター』ファンにプレゼントのような感覚を与えたかったし、初めてこの映画に接する観客には「新しい発見」をしたという気分を感じてもらいたかった。
Q. 劇場が「AIスーパースケーラー」ソリューションを持つ「インショーツ」とMOUを結んだ理由は何か。
A. 再公開作品を検討する中で最も残念だった部分が「画質」だった。そんな中、偶然良い機会で「インショーツ」というパートナーを紹介してもらった。彼らが持つ技術力を見守りながら、過去の映画の残念な画質に関する問題をかなり解決できるのではないかと判断した。最近4K画質でアップスケールして再公開された『庭を出た鶏』がインショーツと共にした初のコラボレーションケースだ。
Q. 空間事業の面で劇場の悩みが多いと聞いた。映画以外にどんな企画をしているのか。
A. メガボックスは「マニアコンテンツ」にも強い。『劇場版 アイドリッシュセブン』や『映画 ラブライブ!』シリーズなど、マニアがいるコンテンツをメガボックスで楽しめるように作っていこうと思っている。コンサートやミュージカルコンテンツも積極的に検討中だ。メガボックスは国内で「ドルビーシネマ」と「ドルビーアトモス」館を運営している唯一の劇場だ。何よりもサウンド面で最も優れたシステムを備えた特別館だ。こうした利点を特化させ、それに合ったコンテンツを提供する予定だ。昨年はメガボックス7か所に応援棒制御システムも構築した。「ビクトリー」「ウィキッド」を応援棒上映会形式で進行し、意味のある成果を上げた。全身で表現し、より積極的に映画を楽しむ方式で観客の反応がかなり良かった。
Q. 日本最大のバーチャルグループ「にじさんじ」とMOUも締結した。
A. 最近バーチャルアイドル市場が拡大しているという分析を受けて、日本国内で最も大規模なバーチャルアイドルキャラクターを保有する会社を探した。そして現地1位のバーチャルグループ「にじさんじ」と出会った。市場の変化に敏感に反応するのはメガボックスだけではなかった。かなりの数の企業が「にじさんじ」側に良い提案をしていたが、幸運にもメガボックスの利点を良く見て手を組んでくれた。今後「にじさんじ」のさまざまなコンテンツをメガボックスで楽しめるように積極的にコラボレーションを進めていく予定だ。
Q. 今年の劇場界を展望すると。
A. 市場が縮小し、急速に変化が進んでいる。厳しい状況であることは確かだ。しかし、このような時期を数年経て業界全体でノウハウも蓄積されたのではないかと判断している。だからこそ、今は新しい道を探そうとする努力も続いている。2025年は制作、マーケティング、配給まで従来の方式を捨てて新しい方式を試み、導入する年になるのではないかと思う。この流れに合わせて劇場もパートナー企業と積極的に協力し、市場の困難を打破できるよう努力していくつもりだ。
Q. メガボックス2025年単独ラインナップは。
A. 現在基準で公開できる再公開作品は『タクシードライバー』や『カウボーイビバップ』などである。新作の中でメガボックスが単独で出す映画は『初めてのキス』や『いたずら好きな高木さん』、『進撃の巨人』、『ラストマイル』などがある。この他にもさまざま